第247回 不良債権が中国株を押し下げる

手元にお金が入ればじゃんじゃん使いたい

中国株は表面上、堅調に推移しています。しかし、ここから大きく下落する可能性があります。中国で個人向け不良債権が急増しているからです。今回は、その背景を深掘りします。

なぜ、多くの中国人が借金を返せなくなったのでしょうか。大きな要因は、政府が国内消費を増やすため、個人がお金を借りやすいように後押ししたことです。

2025年、金融機関は与信を緩和し、消費者向け融資を拡大する姿勢をとりました。

投資部の皆さんは堅実で節約志向が強いでしょう。しかし、世間にはそうでもない人たちがいっぱいいます。お金が手元にあったら、「皆、使ってしまおう」と考えてしまうのです。そうした人たちは、返せるかどうかにまで気が回りません。当然、返せなくなる人がたくさん出てきます。

Gavekal(アジア市場の金融リサーチ)の推計によると、2025年末時点で債務の返済が遅れている人は最大1億人に達しています。図表1をご覧ください。延滞者の増加を背景に、金融機関による不良債権の処分も急増しています。

政府は、個人がお金を借りやすくすることで、思い通りに国内消費を増やせると信じていました。返済能力のある世帯の消費を促したつもりですが、思惑通りに進みませんでした。

結果として、そのツケは低所得・低信用層に借金の延滞者が集中しています。

借金の返済に追われる人々は、消費を切り詰めるしかありません。モノやサービスが売れなくなれば、当然中国国内の企業業績は悪化します。さらに、焦げ付いた不良債権を抱える金融機関も大きな打撃を受け、経済全体にお金が回らなくなるのです。

背景にあるのは若者の失業増加

中国では、若年層の失業率が高い水準で推移しています。労働市場の需要と供給に、ミスマッチが起きているからです。

2000年頃には13%だった大学進学率は、2016年には43%になり、2023年には60%となりました。60%は日本の大学進学率とほぼ同じです。

中国では従来は「大学を出ればエリート」という意識がありました。年収も社会的地位も高かったのです。しかし、急速に進学率が向上した結果、大勢の人が高給取りになることは不可能になりました。それでも、「自分は低学歴の人間が行う仕事はできない」と意地を張ってしまうのです。

大学卒業者数が増加を続ける一方で、彼らの受け皿となる仕事が足りていません。その裏側の問題として、長引く不動産不況や内需低迷に加え、AIの急速な普及も潜んでいます。

図表2は、若年層の失業率の推移です。基準が変更になりましたので、従来の基準で計算し直すと、緑色の線になります。大幅な上昇が続いているということです。

中国株は米国に連動しているだけ

現在、中国経済の足元では、個人向け不良債権の増加、若年層の失業率上昇、内需低迷が重なっています。

にもかかわらず、2025年以降、上海総合指数は、S&P500と同じように推移してきました(図表3)。米国株の上昇につられた面があります。

2026年春以降、この連動性にも限界が生じ始めました。米国株が軟調になれば、中国は国内経済の弱さをさらに反映した動きになるでしょう。業績や経済実態を伴わない上昇相場が続いた中国は、下げ幅が大きくなると考えてください。ければならないのです。企業任せにしてはいけません。個人情報を守るためにも、できる限りの防御を徹底してください。

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