第246回 情報漏洩から自分の身を守れ

不正アクセスが止まらない

先週から、「企業から個人情報が流出した」というニュースを目にする機会が多発しています。サイバー攻撃による不正アクセスが相次いでいるということです。他人事ではなく、自分事として対策を取らなければならない時代です。今日はこの話をします。

2026年9月25日、カーシェアリングサービス「タイムズカー」が、会員の個人情報が外部に漏洩した可能性を発表しました。その後の調査で、約660万件のアカウント情報が流出したことが確認されました。氏名、住所、生年月日などが漏洩しました。さらに、一部のアカウントでは、運転免許証の画像など本人確認書類の情報も漏洩しています。

同社だけではありません。焼肉きんぐ、第一ライフグループ、大和証券なども被害を受けています。

図表1をご覧ください。トレンドマイクロによる、国内企業や自治体の不正アクセスなどの被害公表件数です。2026年は9月末時点で600件に達しました。2025年の年間593件を既に上回っています。

また、東京商工リサーチによると、漏洩した個人情報が1000万件を超えた事案は、12年~25年までで合計3件でした。ところが2026年は、10月5日時点ですでに3件発生しています。

最近は攻撃の特徴にも変化が見られます。

従来、ECサイトからクレジットカード情報を盗む攻撃が目立っていました。現在は、会員向けサービスや予約システムなど、幅広いシステムが標的となっています。

攻撃者は、弱点のあるシステムを広く探し、情報を盗取しているのでしょう。

こうした中、AIの悪用も新たな脅威となっています。

AIが自動で攻撃した痕跡も一部で確認されています。専門知識の乏しい人でも、AIを利用して不正アクセスを仕掛けやすくなることが懸念されています。

攻撃者は一か所さえ突破できればいい

なぜ企業への不正アクセスを防ぐことが、これほど難しいのでしょうか。

それは、攻撃する側と守る側では、圧倒的に守る側が不利だからです。

例えば、泥棒から家を守る場合を考えてください。

家の持ち主は、玄関や裏口、窓など、あらゆる侵入口に鍵をかけなければなりません。一方、泥棒はどうでしょうか。侵入できる場所を一か所見つければよいのです。

さらに重要なポイントがあります。それは、侵入しやすい家であれば、泥棒にとっては、どの家でもよいということです。特定の家にこだわる必要はありません。

企業へのサイバー攻撃も同じです。

企業側は、Webサイトや社内システム、従業員のアカウントなど、守るものが多いです。さらに、自社で対策を徹底しても、委託先のシステムが攻撃されれば、顧客情報が流出するおそれがあります。

攻撃者は、標的も侵入口も選べます。企業側は自社が狙われないという保証はなく、さまざまな侵入経路に備え続けなければなりません。これが、サイバー攻撃を防ぐことの難しさなのです。

個人情報を企業任せにするな

図表2をご覧ください。個人情報が漏洩することは、さまざまな被害につながります。

例えば、運転免許証などの本人確認書類の画像が漏洩した場合です。なりすましによるローンやクレジットの不正申込みに悪用される可能性があります。氏名やメールアドレスの漏洩は詐欺メールの標的になります。「宅配便が届けられませんでした」といった偽メールが送られてくることになります。間違ってクリックしたら一大事です。

また、IDやパスワードが盗まれればサービスの不正利用につながります。同じパスワードを各所で使い回している場合は、そのパスワードによって不正利用をされてしまうのです。クレジットカード情報を登録していたら不正決済されてしまいます。

企業側の対策に頼るだけではいけません。わたしたち自身でも対策をし、自分の身に及ぶ被害を減らすことが重要です。

そのために、以下の5点を行うことが大切です(図表3)。

❶多要素認証を設定する

❷パスワードを使い回さず、複雑なパスワードを設定する

❸メールアドレスは使い分ける

❹クレジットカード情報(番号など)をスマホや通販サイトに保存しない

❺利用していないサービスを退会する

5つもあって大変だと感じる方も多いでしょう。今回はこの中でも特に重要な❶~❸をご説明します。

多要素認証では、パスワードの入力に加えて、スマートフォンに届く認証コードや、専用アプリによる承認で本人確認を行います。顔・指紋認証(パスキー)が対応しているサービスでは、積極的に活用してください。

パスワードはなるべくサービスごとに変え、誕生日や名前の一部を用いないものに設定してください。

メールアドレスは複数個作り、重要用と、アンケートやメルマガなどの登録用に分けるようにしてください。また、情報を悪用したメッセージや電話が来るおそれがあります。鵜吞みにせず、慎重に対応してください。

これらの対策によって、漏洩のリスクや、漏洩後の被害を抑えることができます。すべての被害を防げるわけではありません。しかし、対策を組み合わせることで、被害に遭う危険性を減らすことができます。

どれほど大きな企業でも不正アクセスを完全に防ぐことはできません。だからこそ、わたしたち自身も対策を行わなければならないのです。企業任せにしてはいけません。個人情報を守るためにも、できる限りの防御を徹底してください。

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千葉テレビに出演しました。

べらんめぇ時事総論 第1回

https://www.youtube.com/watch?v=jwM3lN1pclg

べらんめぇ時事総論 第2回

https://youtu.be/iIoA3NvRiIA?si=mgFcuwdSgC2Qp0y8

べらんめぇ時事総論 第3回

https://youtu.be/gb8Rf7OTvzY?si=GGMAVIbUuhEEHCZx

べらんめぇ時事総論 第4回

https://youtu.be/GeLXOBVb8es?si=QC304DUMq1ICjq5q

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